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ゆなさん
> 地震雲は本当にあんな風に
> できるのですか?
ここや隣の掲示板で、繰り返し何度も紹介されたことのある有名なTV番組ですね。
最近この話をする方が減ったと思ったら、YouTubeからは削除されていたのですね。でも、ニコニコ動画のほうにはまだ残っていますので「地震雲の発生実験」で検索すると見ることができます。
この実験は「1989/10/17ロマプリータ地震(M7.1)の2週間、1週間、3日前に記録されたのと同じ電磁波」を発生させると、「2005/7/23千葉県北西部地震(M6.0)の2週間、1週間、3日前にそれぞれ撮影されたものと同じ形状の雲が発生する」という再現実験を装っているため、当時だまされた人が多かったのですが、実験の内容は、地震前兆が放出する電磁波と雲の関係には結びつかない「すり替え実験」です。
今なおだまされ続けている人や、本気で「成果」として真面目に紹介する方が後を絶たないのは残念なことです。
この番組の中で雲(あるいは湯気?)を発生させた実験の問題をたとえて言えば、「夜の星明かりで日焼けが起きるか」を調べるために「星明かりと成分が同一の太陽光線を使って日焼けを起こす実験をした」のと同じすりかえが行われたことです。つまり「強度を無視」し、実際よりもはるかに強い電磁波エネルギーを照射している点に大きな問題があります。仮にこの強度の電磁波が空の雲に届くよう、途中の減衰分を加味して地表からエネルギーを照射させようとすれば、我々全員黒こげまたは蒸発してしまうことでしょう。
以下のポイントを中心にもう一度見直してみるとその意味が判ると思います。
【ポイント1】この動画の2:29に表示される論文の原文は以下のURLで参照できます。
http:ee.stanford.edu/~acfs/LomaPrietaPaper.pdf
この最後のページのFig. 3. のグラフが、2:45あたりで表示されるグラフの元です。縦軸の値は、nT/√Hzという見慣れない単位ですが、原文によると、×0.0855でnT(ナノテスラ)という「磁束密度(=ほぼ、磁力)」の単位に換算できるとのことです。そこで、このグラフの最大値50を換算してみると約4nTという値になりますが、方位磁針でおなじみの地磁気は24,000 - 66,000 nTというレベルですので、地磁気の1/10,000程度ということになります。また、太陽放射の影響により、一日周期で100nT近く変動しますので、4nTというのが、いかに微小なレベルであるか、というイメージがわくと思います。
【ポイント2】4:00で「電磁波の強さをミニチュアスケールに換算して発生させる」と説明しながら、その直後には突然「ただしこの実験では、非常に強い電磁波の照射が必要」と飛躍してしまいます。また、4:10で「電極の先端を地中に埋め自然界の状況に近づける」と説明しますが、自然界での震源は数〜数十キロという深い地中であるにもかかわらず、土をうっすらとかけているだけです。
【ポイント3】東京都立産業技術研究所での電磁波の照射実験ですが、なぜか5万ボルトの高エネルギーを、この小さな霧箱の中に照射しています。
【ポイント4】高エネルギーの照射により、電極のすぐ近くにだけ雲(霧)状のもの(または湯気?)が発生したのは事実ですが、それが数千メートル上空にうかぶ雲の形成とどんな関係があるのか、には一切触れられていません。
この実験を「捏造」と表現される方もおられますが、なかったことをあったかのように偽装している訳ではありませんので、どちらかと言えば、強度を無視した「すり替え実験」と呼んだほうが、より正確ではないでしょうか。
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